長期間でも快適に使用できる総入れ歯はどんなものなのか

歯がほとんどなくなると、食事や会話が楽しめないなどの悩みも出てきます。総入れ歯は悩み解消に役立つ存在ですが、総入れ歯にも様々な種類がありそれぞれ違う特徴があります。ここでは、それぞれの入れ歯の特徴やメリット・デメリットを解説しました。

虫歯の悪化やケガなどで歯を失うことはありますが、歯周病の悪化などですべての歯を失ってしまう人もいます。そうなると、食事や会話にも不自由が出てしまいますが、総入れ歯なら多くの歯を補うことができます。入れ歯は長く利用していくことになるので、長期間でも快適に使えるものを選びたいところです。ここでは入れ歯の種類やそれぞれの特徴について書いていきます。入れ歯選びでお悩みのある人はぜひ参考にしてください。

保険適用で作れる入れ歯の特徴を知る

総入れ歯

歯を失った場合は、インプラントやブリッジで補うこともできますが、かなり広い範囲の歯がなくなった場合はそうした治療では対応が難しくなることもあります。特に高齢者は歯周病の悪化などが原因でほとんどの歯がないという人も珍しくありません。そうなるとブリッジや部分入れ歯では対応できなくなりますし、インプラントにするにしても多くの本数を埋め込むことになります。歯周病が悪化している場合は、顎の骨の状態も良くないので埋込みができない可能性もあります。

埋込ができたとしても、費用はかなり高くつくことになります。できるだけ安く多くの歯を補うのであれば、保険適用の総入れ歯にすることも考えてみましょう。保険適用の入れ歯はレジン床義歯とも呼ばれており、歯肉にあたるピンク色の部分はプラスチックで作られています。3割負担で作れるので、上下すべての歯を補う場合でも2~3万円と安く済むのも良いところです。合わなくなった場合に修正がしやすいのも利点といえるでしょう。そのかわり、厚みがあり口の中で違和感があるという欠点もあります。

落とした場合に割れやすいという欠点もあるので、取り扱いには注意が必要です。食べ物の食感が感じにくくなることや、噛む力も弱いので歯ごたえのある食べ物を楽しむのは難しいということも理解しておきたいところです。美味しく食事を食べるためには、食べ物の熱が伝わることも大事ですが、厚みがあるので温度がわかりにくいのも特徴的です。作成にかかる期間は短く済みますので、短期間で歯を補えるのはメリットといえるでしょう。

より快適に使える金属床義歯にも注目

総入れ歯

保険適用の入れ歯で満足できている人もいますが、より快適さを追求するなら自由診療の入れ歯にも注目したいところです。自由診療の総入れ歯にもいろいろな種類がありますが、代表的なものに金属床があげられます。これは、プラスチックの入れ歯の一部を金属にしたものです。土台である部分に金属が使われていることから、この名前で呼ばれています。金属の差し歯のようにギラギラと目立つのではないかという心配もありますが、金属部分は歯列より内側に使われるので金属が目立つ心配はありません。

金属を使うことで強度もアップしますし、食事の熱が伝わりやすくなるので冷たいものも温かい食べ物もよりおいしく食べられるというメリットもあります。保険適用の総入れ歯よりも粘膜部分を薄く作れるようになるので、違和感もより少なくなり快適な装着が期待できます。使われる金属はインプラントなどでもよく利用されているチタンがあげられます。丈夫で軽く、金属アレルギーが起きにくいなど多くのメリットがあります。

より安く作るなら、コバルトクロムという選択もあります。チタンよりは重さもあり、金属アレルギーのリスクもやや高めということは理解しておきましょう。保険適用はされないので、製作費は高くなりがちですが、丈夫なのでメンテナンスをしっかりとすればかなり長期間使用することもできます。汚れもつきにくく、より自然な仕上がりが得られるのも良いところです。劣化しにくい入れ歯ですが、破損すると修理が難しくなりますので、こちらも丁寧に取り扱いをしたいところです。

シリコン製の入れ歯にも注目しよう

総入れ歯

総入れ歯では歯茎全体を覆うことになるので、その違和感や痛みで悩む人も少なくありません。そこで、より快適な装着ができるよう、入れ歯も続々と新しいものが登場しています。歯に当たる部分は固い素材でないと食べ物を噛むことはできませんが、歯茎部分はもっと柔らかくしたいと考えている人もいるのではないでしょうか。そのような場合はシリコン義歯に注目してみましょう。

これは歯茎にあたるピンク色の部分が柔らかいシリコンでできている義歯です。上の歯は保険適用の総入れ歯でも精密に作れば比較的痛みは出にくくなっています。下の歯は、安定が悪く歯茎も痩せやすいこともあり、精密に作られた入れ歯でも違和感や痛みが出やすい傾向があります。その点、柔らかいシリコン義歯は歯茎にもフィットしやすく、噛んだときの衝撃も分散しやすいので痛みが発生しにくいといわれています。快適でありながらも、金属床の総入れ歯より安く作れるというメリットもあります。歯茎に優しく、弾力性があり吸盤のように作用するので入れ歯が安定し外れにくいのも良いところです。

入れ歯と歯茎の間に食べ物がつまりにくいのもこの入れ歯の良いところです。シリコン総入れ歯にはメリットが多くありますが、やはり注意したい部分もあります。注意点としては、柔らかい素材ということもあり比較的短期間で劣化してしまうことや、劣化した場合の修正が難しいことなどがあげられます。シリコン部分は汚れやすいので、洗浄をきちんと行うことも大切です。お手入れの際には専用の洗浄剤も必要になります。

より安定性に優れた総入れ歯を選ぶなら

総入れ歯

総入れ歯があれば、歯が一本もなくなった場合でもすべての歯を補うことができます。とても便利な存在ですが、やはり支える歯が一本もない場合は不安定になりがちです。会話中や食事中に入れ歯がずれることにストレスを感じている人もいるのではないでしょうか。そのような場合は、より安定性に優れた総入れ歯を選ぶことも考えてみましょう。

一般的な総入れ歯は唾液の力で安定させています。歯の根だけでも残っているという場合は、マグネット義歯も検討してみましょう。これは入れ歯と残っている歯の根の部分にマグネットを装着するというものです。特殊な磁石を使うことで、入れ歯がしっかりと安定します。しっかりと噛めるので食事もより楽しめるようになりますし、痛みが出にくいこともメリットです。義歯の粘膜を覆う部分を少なくできるので、違和感も少なくなります。

歯の根っこ部分が虫歯にならないよう、お手入れはしっかりと行うことが大切です。 歯の根が残っていない場合はインプラント義歯も検討してみましょう。これは、歯茎の部分に最小本数のインプラントを埋め込み、そこにマグネットなどを装着して義歯を安定させるという方法です。不安定な入れ歯でお悩みの方はこうした治療も検討してみてはいかがでしょうか。インプラントを埋め込む治療が必要になるので、総入れ歯治療の中でも特に治療費が高くなることは理解しておきましょう。歯茎の状態が良くないとインプラント治療ができない可能性もあります。良い状態を保つためには、インプラント部分のお手入れをしっかりと続けることも大切です。

総入れ歯にも実に多くの種類があり、新しい治療も続々と登場しています。最近はより快適な装着ができるものも増えてきました。使い心地や治療費、耐久性などもそれぞれ違いがありますので、まずは特徴をよく理解しましょう。メリットだけではなく注意点も理解しながら、自分に合うものを見つけていきましょう。精密な治療をすることも大切ですので、歯科医院選びは慎重に進めていきたいところです。